「徒然Weed」〜魚鳥木店主Doramaruの雑文〜

Doramaruです。音楽家で料理人。King Of Flip'23優勝しました!!

移住の計画

まだ東京で働きながら移住を目論んでいた頃、連休を利用して熱海やら沼津をリサーチしに出かけた。いわゆる旅行だ。 熱海のやや寂れかけた感じがとても好きなのだが旅行で訪れるのと住むのでは話が変わってくる。坂がやたら多いのも自転車好きの私には辛いところだ。
 沼津は海も山も川もあり駅の周りも栄えていて(住んでみるとそうでも無い事に気付くのだが)何だか住みやすそうに感じた。夫婦で暮らすには車がないと不便そうだが、家賃も駐車場代も東京よりは確実に安い。仕事さえあれば生きていけそうだ。港のあたりは観光客相手の飲食店も多く、飲食系の正社員求人もそこそこある。これはいよいよ移住できるのではないだろうか、東京を脱出できるのではないだろうか。
 必要なのは住む部屋と仕事、あとは崖の下を見ないで向こうに飛び移る度胸。
 いくつになっても新しい事を始める事は出来るが、40歳過ぎると仕事を探す難易度がやや上がるように思う。30代のウチに経験できる仕事はしておきたい。
 ホントはこういうの20代でやっとくべきだったのだろうな。

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移住の準備

移住の準備準備なんか本当に直前まで全然してなかった。とりあえず住んでいた借家の契約が2月いっぱいで更新だったので、その前後で実家の会社を退職して、東京以外の場所で夫婦で暮らしてみよう、と決心したのも夏頃だったろうか。
以前から妻と旅行で熱海やら沼津やら伊豆半島へよく遊びに行っていた事もあり、何となくその辺りが住みやすそうだな~、という思いがあった。「静岡 移住」で検索すると、有楽町の交通会館の中に相談窓口があるとの事で、休日にサイクリングがてら妻と訪れてみた。今の自分達の現状や東京以外での暮らしに対する憧れなどを窓口のおねえさんに話しているウチに、何だかこれは実現しそうな気がする、と思えてきた。やりたい事とか夢とか、ホントに漠然とした状態でもいいから誰かに話すといい。自分がそれをやりたいという意識の再確認と同時に、他人に話してしまったのだからとりあえずやってみなければ、という気持ちも芽生える。声に出すという事は、かなり大切だ。
この段階では結局何にもしてないのだが相談窓口に行っただけなのに大きな一歩を踏み出せたような気がした、自由になれた気がした、38の夜。

 

 

沼津に来て3カ月

だいぶ仕事も慣れてきた感じはある。しかしまだまだ洋食という慣れない分野に対して試行錯誤を繰り返しながら日々精進を続ける毎日だ。料理長などという立場も初めてなので色々と戸惑いは隠せない。だがやるべき事は決まっている。そこに向かってただひた走るだけだ。勉強と実践。有意義な時間を過ごしている。10キロ痩せました。

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【移住日記1】

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東京を離れ沼津に来て早々、妻が風邪をひいてしまい悪くなる一方なので、まだ着いて間もない、右も左も分からない新天地で救急病院(土曜で開いている病院が無かったのだ)で診てもらう、インフルエンザとの事。引っ越しのバタバタやら何やらで疲れていたのもあったのだろう。新居三日目にして妻は私に風邪が伝染ってはいけないと気遣い天の岩戸(北側の寝室)に閉じ籠ってしまった。
 段ボールに詰められた日用品やら何やらを片付けなければならないのだが、昭和の亭主よろしく何をどこにしまえば良いものやら。そもそも新居なのでしまう場所すら決まってはいないのだ。
 とりあえず自分に出来る片付け(楽器、自転車部品、調理器具の一部他)をし、洗濯機の取り付け(水道と洗濯機ホースを接続したものの少し水が漏る。不動産が休みだったので蛇口を自分で交換)やら家具の組み立て等をして居間でテレビを観ながら休憩する。
 ずいぶんチャンネルが減ってしまった様だ。夕方の相棒の再放送が無いのは痛手だなあ。同時間の同局は船越氏かー、うーん。
 テレビにすぐ飽きて、自転車で近所の偵察、索敵、散策。新居は川沿いに近く、その川沿いにはサイクリングロード的なものがあり、このサイクリングロードを利用すれば信号や自動車を気にすることなく数Km離れた駅の周辺まで容易にアクセス出来る事が判明。自転車好きの私には最高の立地だ。川沿いの眺めも素晴らしく、どこにいても富士を望むことができる。
右も左もわからない、知人友人も限りなく少ない、道路が広くて(東京と比べ)人の少ない水辺のこの街でしばらく暮らすのだ。毎朝この富士を見ながら出勤できるのは嬉しい。きっとすぐに見慣れてしまうのだろう。しかし壮大すぎる景色は人を謙虚な気持ちにさせる力を持っている様に思う。毎朝、謙虚な気持ちを取り戻しながら通勤出来れば何よりだ。
 富嶽百景を読み直してみようかしら。

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イソップ物語に「卑怯なこうもり」というお話がある。獣達と鳥達の戦争のなかで、己のどちらともつかない特徴を生かして両軍に対していい顔してうまいことやるのだが、結局はバレてしまい獣達からも鳥達からも仲間外れにされてしまいひとりぼっちになってしまうという話だったと思う。思えば八方美人で事なかれ主義の私はこうもりのようなポジションにいることが多かった。中学、高校時代は十一中軍団と奥中八幡中連合軍団の間にいて度々気まずい思いをすることがあったし、音楽もロックなんだかパンクなんだかヒップホップなんだかテクノなんだかいまだに落ち着いてない。決断力が無いのか集中力が無いのか落ち着きが無いのか、自分でもよく分からないのだが、特定の団体や思想に属する事がどうも苦手なようだ。意識している訳ではないのだが。
 そんなこうもりな私が久々に自転車を購入しました。こうもりに相応しいどっちつかずな自転車、ARAYA Muddy Fox CXGである。ドロップハンドル、ブロックタイヤ、カーボンフォーク、ディスクブレーキetc。ロードレーサーではないがシクロなのかMTBなのかと言われると、うーん。一応グラベルロードというカテゴリーはあるのだが、まだ身近にそのユーザーは居ない。リアエンドは135mmだったので一応MTBってことになるのだろうが(そもそもMuddy Fox はMTBだ)コンポはシマノClarisだ。この辺のこうもり感がたまらなく好きだ。好きです。大好きです。機械式ディスクブレーキの安っぽさが気になるのでいずれアップグレード出来ればと思うのだが、コンポは当分クラリスで良いかと思う。以前は「コンポは最低でも105っしょ!」などとほざく105至上主義だったのだが、そんなに早く走る訳でも長く乗る訳でもないライトユーザーなのにあんな高級品である必要があるのだろうかと自分に問いかける日々を経て、ようやく105原理主義思想から解脱できた。私はクラリスで充分である。いずれ偶然付き合いで購入した馬券が当たったりでもしたらグレードアップも考てみようかしら。いや、その時は新車を購入するだろうか。ベルトドライブのシングル車も1台欲しいのだよな。ブリジストンのベルトドライブHELMZもかっこよいなあ、GATES社のベルトドライブ搭載の車両も捨てがたいなあ、いっそ今もってるFUJIのフェザーのフレームぶったぎってベルトドライブ化してしまうのも一手かしら、などなど、自転車の物欲は尽きない。こんなことを考えている時間も幸せだ。

決断

 年が明けたら今の職場を辞めようかと思う。給料の問題、自分の置かれたポジション、周りの社員との仕事に対する距離感の違い、年代の違い、経営者の意識、辞めたい理由を挙げればキリがなさそうだ。
 今年で38歳になる。転職を考えるにはけっこうギリギリの年だろうか。だが今の職場でダラダラと時間が流れていくのを傍観している訳にはいかないのだ。まだまだ学びたい事が沢山ある。やりたい仕事も沢山ある。目標や夢を一つ一つ達成させていきたい、叶えていきたい。今よりも経済的には厳しい暮らしになるかもしれないが、未来の事を(未来といっても目の前の事だ)考えたら、それも乗り越えなければならない事の一つだと思う。
 料理の修行、店舗内装の勉強、経営の勉強、音楽、自転車、狩猟、釣り、etc。人生は短くて長くてあっという間だ。東京を離れるのも目標の一つだ。今まで築いた人間関係、立場をすてて行くのは惜しい気もするが、まあ仕方がない。そういうことも含めて人生の転機なのだ。